公 開 1954年(日本では1957年)
時 間 104分
出演者 アンソニー・クイン ジュリエッタ・マシーナ
この映画は前から知っていました。
名作映画としても時々紹介されていたので、観てみたいなと思いつつも、ずっと観ていませんでした。
最近、初めてこの映画を観ました。
正直な感想を言えば、私には合わない映画でした。
私だけに言えることなのかもしれませんが、歳をとってくると、自分に残されている時間には限りがあるということをだんだん意識するようになります。
当たり前のように迎えていた春や見ている桜も、あと何回見ることができるのだろうか・・・と、別に病気でもなんでもないのですが、そんな風に思ってしまいます。
昔は映画も手当たり次第と言って良いほど観ていました。でも、今は、なるべく厳選して、後味の良い映画を観たいと思うようになっています。
でもそれは、観てみないことにはわからないことなのですが・・・、それでもやはり、どうせ観るなら、良い映画だったと思える映画を観たいと思います。
今回「道」を観たのも、名作と言われているし、中には感動した映画に入っていたこともあったので観てみました。
名作映画と言われることについては、多くの人が名作と言えば名作になるものだと思うので、この映画が名作映画と言われることには特に何も思いませんでした。ある意味で名作と言っても良いと思いました。
ただ、感動する映画かと言われたら、私の中では「感動」するところはありませんでした。むしろ、後味が悪くて、期待はずれの映画でした。
この映画をもっと若い頃に観たり、もっと違う時代に観ていたら、印象は変わっていたのかもしれませんが・・・。
軽い知的障害のある女性ジェルソミーナが、旅芸人ザンパノに買い取られ、一緒に芸をしながら旅をしていく途中で、ある事件が起こってしまう・・・。という内容なのですが、この映画の伝えたかったことを自分なりに考えてみました。
イタリア映画ということもあってか、キリスト教の影響が作品全体に表れていて、もしかたら、ジェルソミーナが天使(善)で、ザンパノが悪魔(悪)みたいな対比をして、「善」と「悪」が「ジェルソミーナ」と「ザンパノ」に象徴されて表現されていたのかなと思ったりしました。
もし、私がジェルソミーナだったら、出来事について善か悪かでしか考えられなくて、悪いことをしたザンパノのことは理解できないだろうと思います。
でも、もし私がザンパノだったとしても、もしかしたら私も彼と同じようにジェルソミーナから離れたかもしれません。人間の本性なんて、実際にその時になってみないと自分にだってわからないのですから・・・。
人間って善人か悪人かで割り切ることなどできなくて、一人の人間の中にジェルソミーナの部分もあれば、ザンパノの部分もあって、それが人間ってものだと私は思っています。
ですから、この映画はあえて「善」と「悪」を「ジェルソミーナ」と「ザンパノ」に象徴して対比させることで、人間一人一人の中にある本性や本質みたいなものを描いたのだろうか・・・と思ったりもしました。
正直、私には難しいことや理屈はどうでも良くて、映画を観た後に心に残る何かがあれば、それで良いのです。その「何か」というのは、感動であったり、温かさであったり、涙であったり、学びであったり、時には衝撃でも良いです。何かがあれば良いのですが、残念ながらこの映画からは私の心に残る「何か」はありませんでした・・・。
きっと私の中に(ドキュメンタリー映画は別として)映画の世界ではなるべく現実離れしたものを観たいという願望があるからなのかもしれません。だから、華やかさや、綺麗さもなく、暗い感じのするこの映画を期待はずれと感じてしまったのかもしれません。
どの映画が自分の心に響くかは人それぞれです。みなさんはこの映画を観てどのように感じるでしょうか?
映画「道」は私には合わなかったというだけのお話でした。
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同じイタリア映画ですが、こちらは私のオススメです。