【人間の滑稽な一面がよくわかる社会風刺映画】チャンス
公 開 1979年 時 間 130分 出演者 ピーター・セラーズ シャーリー・マクレーン
あらすじ
チャンスは物心ついた頃からある屋敷で住み込みで働いており、屋敷の敷地から一歩も外に出たことがなかった。
チャンスには知的障害があったため読み書きができず、庭師としての仕事以外の時間はテレビを見て過ごしていた。
ある日、主人が亡くなり、屋敷を出て行かなければならなくなった。
チャンスは街に出て自分の姿が映るテレビ画面に夢中になっていたところ、高級車に脚を挟まれて怪我をしてしまう。
高級車に乗っていたイヴという女性の提案で、チャンスの脚はイヴの旦那の主治医に診てもらうこととなった。
イヴの旦那のベンジャミンは経済界でも有名な人物で大金持ちだった。
主治医の判断で脚の様子を診るためにも、数日間ベンジャミンの豪邸に泊まることとなった。
イヴの旦那のベンジャミンはチャンスを夕食に招いた。
ベンジャミンはチャンスを事業に失敗して財産を失った実業家と勘違いし、
多くを語らないチャンスが庭の手入れの話をすると、ベンジャミンはそれを事業の話と早合点し、
チャンスをいたく気に入ってしまい、アメリカ大統領にまで紹介し、その後、チャンスはテレビ出演も果たし、
一躍有名人となった・・・。
みどころ
人間とは・・・
この映画の面白いところは、チャンスは庭師としてただ知っていることを話し、人々の質問に率直に答え、相手の言っていることが理解できない時はただ黙って笑顔でやり過ごしているだけなのに、人々はそれを自分たちの都合の良いように解釈していくことです。
そして、人々からしてみたら、チャンスには謎が多く見えているため、憶測が飛び交い、チャンスについての話がどんどん大きくなっていきます。
映画ではやや極端に描かれているかもしれませんが、でもこれって往々にしてあることだと思います。
人間って、相手のことを「こういう人間だ」って勝手に決めつけたり、相手の言葉を勝手に都合よく解釈したり、常日頃からやっているように思います。
この映画は人間の滑稽な一面をとてもうまく描いている作品だと思いました。
ベンジャミンの死
チャンスは屋敷の主人が亡くなった時、何事もなかったかのようにテレビを見ながら朝食を食べ、変わらない1日を過ごしていました。
きっと「死」というもの自体あまりよくわかっていなかったのかもしれませんが、
主人の死はチャンスにとって特別でも何でもない出来事だったのだと思います。
それ以前に、チャンスは「悲しい」とか「寂しい」とかいう感情を知らなかったのかもしれません。
でも、ベンジャミンが亡くなった時、チャンスの目は真っ赤になってて頬には涙がこぼれていました。
チャンスはこの時初めて何かしらの感情を抱いたのだと思います。
ラストシーン
この映画のラストシーンはとても興味深いものがあります。
そのラストシーンで「人生とは心の姿なり」というベンジャミンの遺言が流れています。
この言葉が流れている時、チャンスはある奇跡的な行動をとっています。
きっとチャンスはその行動について、普通、人にはできないということを知らなかったのでしょう。
つまり、チャンスの心の中ではその行動は可能だったということです。
まさにチャンスの心の姿なのだと思われるシーンです。
感想
この映画を初めて観たのは学生時代だったかと思います。
ラストシーンは覚えていたのですが、内容を全く覚えていませんでした。
この映画の存在を思い出して久しぶりに観たのですが、
人の愚かな部分とでも言いますか、滑稽な部分とでも言いますか、
人間のそういう一面を描いていた社会風刺ものだったのだと気付かされました。
本当にこの映画のように、人間って自分の見たい世界だけを見てるんですよね。
よく、現実というものは潜在意識の現れだと言いますが、人間って目の前の現象を自分で解釈して、その解釈を通して世界を見ているので、人の数だけ別々の世界があるのだと私は思っています。
「人生とは心の姿なり」と映画ではまとめられていますが、目の前の積み重ねで人生が出来上がっているならば、「目の前の現象は心の姿なり」でもあると思いました。
人間というものを勉強できる映画です。
ちなみにこの映画は主人公チャンス役のピーター・セラーズの遺作でもあります。
是非、観てみてください!
こんな人にオススメ
・教訓的な映画を観たい
・人間というものを知りたい
・物の見方を変えたい
-
前の記事
【オススメ】元気が出る映画19選 ー 現実逃避したい人・勇気が欲しい人・元気になりたい人へ ー 2023.06.18
-
次の記事
【よくあるサクセスストーリーだけど元気になれる映画】コヨーテ・アグリー 2023.08.06