【後悔のない人生を送ろうと思える映画】生きる
公 開 1952年
時 間 143分
出演者 志村喬 小田切みき
あらすじ
市役所の市民課長である渡辺は、山積みにされた書類にハンコを押すだけの毎日を送っていた。
体調不良で病院に行くと、軽い胃潰瘍と診断を受けるが、症状から胃がんであると悟り、余命はあと数ヶ月と考える。
渡辺は早くに妻を亡くしたが再婚はせず、息子を育てるためにギャンブルも遊びもしないで、お酒すら飲まずに生きてきた。
役所を無断欠勤し、貯金をおろし、夜の街に出る。
飲み屋で知り合った小説家の案内でパチンコ、ダンスホール、キャバレー、ストリップショーなどに行くが、結局、虚しさだけが残った。
翌日、役所を辞めようとしていた部下の小田切と偶然会い、一緒に食事をしたり、スケートをしたり、遊園地や映画に行ったりして過ごす。
その後、転職した小田切と再び会った渡辺は、彼女に胃がんであることを打ち明け、彼女の奔放さや生き方を羨み、どうしたら君のようになれるのか教えてくれとせがむ。
小田切は「私はただこんなもの(うさぎのおもちゃ)作ってるだけよ。こんなもの作ってるだけでも楽しいわよ。課長さんもなんか作ってみたら?」と問いかけられ、「もう遅い・・・」と涙する渡辺だったが、
突然、「いや、遅くはない、無理じゃない、遅くてもやればできる。ただ、やる気になれば・・・。」と言って、次の日、仕事に復帰するのだった・・・。
みどころ
監督 黒澤明
この映画の監督は「黒澤明」です。彼の名前は映画ファンではなくとも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
でも、実は私、黒澤監督の映画をはこの「生きる」以外ほとんど観たことがありません。
「羅生門」と「八月の狂詩曲」は小さい頃にテレビでちらっと観たことはあるのですが、「羅生門」は怖い感じがして観るのをやめたのと、「八月の狂詩曲」は当時の私にはあまりよく理解できなかったので、どちらもちゃんとは観たことがありません。
以前(と言ってももう20年くらい前)、外人の人が「七人の侍」のDVDを持っていて、私が「これ観たことがない」と言ったら、「日本人なのに観たことがないのか???」と驚かれたことがありました。
これを機に、黒澤映画を観てみようと思います。
言葉
テーマがテーマなので、この映画の中で話されるナレーションやセリフは重みがあって深いです。
まず最初のナレーションにはインパクトがあります。
これがこの物語の主人公である。
しかし、今この男について語るのは退屈なだけだ、なぜなら、彼は時間を潰しているだけだからだ。
彼には生きた時間がない、つまり、彼は生きているとは言えないからである。
映画『生きる』
他にも、小説家のセリフでこんなのがありました。
不幸には立派な一面があるというのは本当ですな。
つまり、不幸は人間に真理を教える。
あなたの胃がんは、あなたの人生に対する目を開かせた。
映画『生きる』
昔の日本
この映画は1952年公開で、戦争が終わって7年後の映画です。多くの人たちが映画やダンス、スケートなどを楽しんでいて、成長しかなかった頃の日本の姿がなんとなく羨ましくもありました。
それと、この頃はまだガンになる人も少なくて、ガンは死を意味していたので、医者は本人に告知することは少なかったのだろうなぁと思いました。
私が小さい頃も、ガンになったらまずは家族に知らされて、家族が本人に本当のことを言うか言わないかを考えるというような感じでした。
今では医者はあっさりと本人にガン告知をするし、ガンになる人も多くなったのでガンで亡くなっても大きな話題になることも無くなりました。
渡辺の誕生
渡辺は小田切の影響を受けて、生まれ変わります。
その時に流れる「ハッピーバースデー」が彼の本当の意味での誕生を表しているのだと思いました。
生まれ変わった渡辺は、役所の人間がしなかったことをやり遂げます・・・。
死ぬ気になれば、人はなんだってできるんだということを教えてくれます。
リメイク
この映画は2022年にイギリスでリメイクされています。
渡辺役をビル・ナイが演じていて、家族関係やラストシーンなどちょっと違う部分はありますが、内容はほとんど同じで、こちらの「生きる」もとても良かったです!
ただ、文化の違いもあってか、渡辺が役所でハンコだけを押して、ただただ時間を潰すためだけに生きていて、「それは生きているけど生きていないのだ」という肝心な部分の表現があまりないように思ったので、主人公が生まれ変わったというか、「新しく誕生した」のだという部分が軽く感じました。
でも、リメイク版はリメイク版でとても良くて、主人公と息子の関係や女性部下との関係なんかはリメイク版の方が好きでした。ビル・ナイの演技もさすがという感じです!
ちなみにビル・ナイはこのブログでも紹介している『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム』などに出演しています。
感想
私がこの映画を初めて観たのは、『僕の生きる道』という草彅剛さんが主演のドラマが放映されている時で、このドラマのもとになっている映画が黒澤監督の『生きる』だと知って、どんな映画なのだろうと思って観たのが最初でした。
やはり、印象的だったのが最初のナレーションでした。「生きているけど生きていない」「時間を潰しているだけ」、当時の私はまだ何者にもなっていない宙ぶらりんの時で、この映画を観て元気づけられたのと、同時に「後悔のない人生を生きよう」と思いました。
あれから20年以上が経って、大人の世界、公務員の世界、お役所の世界、縦社会・・・そんなものを肌で知り、改めてこの映画を観て、この渡辺の最後の行動がいかに凄いことかがわかりました。
若い時にはわからなかったけれど、歳をとるとどうしても人は保守的になるように思います。守るべきものがあると尚更に・・・。
でも、自分の命があとわずかだと思うと、人は諦めていた何かを頑張れるのかもしれません。
ただ、私は2011年以降、何が起きるかわからない時代になったように感じていて、1日1日を無事に過ごせることに感謝しています。
人生って、本当にどうなるかわからないものですよね。
明日があると思って生きているけれど、いつかは明日が来ない日が来る・・・。
だからこそ、今日という日を、今という一瞬を、大切に生きたいです。
「生きる」ということや自分の人生を考えさせられる映画です。
死ぬまでに一度は観るべき映画の一つだと思います!
こんな人にオススメ
・後悔のない人生を生きたい
・人生を見直したい
・頑張る勇気が欲しい
・人生を生き切りたい
「生きる」を観るには
U-NEXT
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